2010年5月24日月曜日

ピアノをやめた日



息子がまだ幼稚園へ通い始める前のこと・・・

何がきっかけだったか、自宅の押入れの奥にしまってあった
古びた電子ピアノを取り出すこととなった。

それは以前、某有名タレント主演のピアノ系ドラマが一斉を風靡したころ、
私達夫婦がそのブームに便乗し、ごくミーハーな目的で購入したもの。
もちろんそのブームも長くは続かず、二人の意欲もいつの間にやらどこかへ消え、
電子ピアノは、必然的に押入へと追いやられる運命となった。

子供が生まれたのきっかけに、私も人並みに、かわいい我が子に
童謡の一つや二つを歌って聞かせるようになり、
それが、押入れに眠っていた電子ピアノの存在を意識させていたのかもしれない。

昭和に生まれた多くの少女達がそうであったように、私もまた、
恐らく両親の意向で、幼いころからピアノを習い始め、それはその後
9年ほど続いた。

それなりに楽しみ、それなりに上達はしたが、残念ながら、
「ピアノが好きだ!」と、胸を張って言えるほどの情熱はなかった。

中学に入り、「人よりも手が小さい」という理由でとうとうピアノ会を引退(?)したが、
真の理由はきっと、それではなかった。

でも、こうして、ピアノブームが到来すれば、また鍵盤を叩いてみようかという気になり、
子供が生まれれば、いっちょ我が子に弾いて聞かせてやろうか、
という意気込みが出てくることを思えば、、
9年間続けてきた甲斐がそれなりにはあったのかな、と思う。

さて、おおよそこんな経緯で、我が家の押し入れのピアノは再び日の目を見ることとなった。

リビングにあるピアノの存在が、ごく日常の風景 となってから間もなく、
幼稚園に通い始めた息子は、 好奇心から鍵盤を触るようになった。
最初は、人差し指一本で音を探ることから始まり、
時と共に、それは次第に他の指との連携を成し、
気がつけば、幼稚園で習ってきた歌を鍵盤に乗せ、
息子なりに演奏するようになっていた。

音楽の耳を持ち、手先の器用な子だと思った。
半分は親の欲目であるが・・・

そろそろ息子に習い事の一つでも・・・と考え始めていた矢先、
両親とも意見一致で、彼にとって始めての習い事はピアノに決まった。

毎週火曜日夕方。
先生との相性も良かったらしく、楽しんでレッスンを受けている様子だった。
与えられた課題も順調にこなし、年に一度の発表会でも
毎年成長が見られた。
先生からもそれなりに期待がかかり、親と一緒に成長を喜んでくれた。 

何一つ不足はないかに思えた。
ただ一つ、息子に足りなかったピアノに対する「情熱」を除いては・・・

やがて息子は、練習やレッスンを嫌がる時期に突入したが、
皆あることだと先生は言い、上手に対処してくれていた。

習い事は続けることに意味がある。
両親共にそう信じ、辛いことも乗り越えて、
いずれ「情熱」も育まれていくものと思っていた。
いずれその楽しさも分かってくるものと信じていた。

彼が「野球」に出会うまでは・・・

つづく・・・

2 件のコメント:

  1. 私も小学校低学年の頃、親に言われて習字と水泳習ってたのね。
    特に嫌がることもなく、決まった日には黙々と通っていたけど
    決して楽しいとは思えなかった。だからあまり上達しなかった。
    高学年になって自分がはじめて自ら「これがやりたい!」と思ったものと出会って(音楽だったけど)
    誰に言われなくてもせっせと練習に励んだし、みるみる上達した。
    多分、大人なら皆ひとつふたつはそういう経験を過去に経てきてるはずだよね。
    それが分かっているからこそ無理強いが無意味なことは分かっている。
    けど、何度も山を乗り越えて続けることのみでいつか得られるもの、見えてくるものがあることも分かってる。大人には。

    でもさ、たとえ今ピアノをやめても、ベースがある程度できているのだから
    また大人になってから本人が思い立って再開することも可能だよね。
    …と、まだ前編のうちに適当なことを書いてみたw後編を待つww

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  2. そうだね。息子の場合も、この4年間のピアノは決しえ無駄ではなかったと思うし、これによって何かを学んでくれたらいいんだけどね。
    しかしこの男は、将来どの道へ行くのだろうか・・・10年後、20年後の我が子を見たときに、「あんな時代もあったね。」と、目を細める日がくるのかね。
    お互いにね。^^

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